2020-06-08から1日間の記事一覧

幻の花 ~ 第三十三章 関寺小町

寛平七年(八九五年)七月七日、七夕の日のことであった。宇治の僧が歌の上手な老婆がいるという噂を聞いて、小坊主たちを連れた関寺近くにやって来た。村人に訊きながら山陰の里を訪ねると、辺りには飄々たる冷風が吹いていて、夏草も花を揺らし、松風まで…