2020-04-05から1日間の記事一覧

幻の花 ~ 第四章   玉造小町

貞観七年(八六五年)三月、小町の父、小野良実は出羽郡司に任ぜられた。良実はこの藤原権勢を気にしての朝廷の処遇に、心中、甚だ穏やかでなかった。彼にとって出羽は陸奥と併せた大国であり、他国の郡とは自ら趣きを異にしているとはいえ、一介の郡司とし…