倉渕残照

倉渕残照、其の二

慶應4年(1868年)3月1日、江戸幕府の元勘定奉行、小栗忠順は知行地、上州権田村に入り、逼塞することを決め、当地に到着したが、彼の江戸から下向する行列は人目を引き過ぎた。行列の先頭を村井雪之丞一座が立ち、沢山の従者を引き連れ、江戸から高…

倉渕残照、其の一

安政5年(1858年)4月23日、彦根藩主、井伊直弼は将軍、徳川家定の推挙により老中から大老役を拝命し、大老に就任した。時代は清国と戦争している欧米諸国が、日本の開国を要求して来ている最中で、徳川幕府内は攘夷派と開国派に分裂し、混乱してい…